はじめに 確認したいのは3つだけ
三井住友カードが2026年に入って、短い間に条件をいくつも変えました。「還元率が下がったらしい」という話は耳に入っても、自分の使い方でいくら損得が動くのかは見えにくいものです。
先に結論をお伝えします。確認したいのは3つです。①年会費が無料になる条件の数え方、②コンビニ・飲食店でのおまけ還元、③貯めたポイントの使い道。この3つを、順に数字と理由で整理します。
そして最後に、経営者が本当に目を向けるべき場所はどこかをお伝えします。
2026年に動いた3つの変更(全体像)
今回の変更は、大きな値下げが1つあったわけではありません。性質のちがう3つの変更が、2月から3月にかけて順番に始まりました。まず全体を1つの表で見てください。
| 変わったこと | 内容 | いつから |
|---|---|---|
| 年会費が無料になる条件の数え方 | au PAY・Kyash・JAL Pay・バンドルカードへの入金(チャージ)を、1年間の利用額に数えないことに | 2026年3月1日 |
| コンビニ・飲食店の還元 | アプリにログインすると乗っていたおまけ分を終了(お店でのタッチ決済の還元そのものは継続) | 2026年2月28日 |
| Vポイントの交換先 | WAON・Ponta・dポイントなどへ移す道を、一部終了 | 2026年3月31日 |
3つとも、影響を受けるのは「その使い方をしていた人」だけです。自分が当てはまるかどうかを、次から順に確認してください。
その前に、表に出てくる言葉を先にかみ砕いておきます。
- チャージ:カードから電子マネーやアプリのお財布に、先にお金を移して入れておくこと。要するに「前払いの入金」です。
- au PAY・Kyash(キャッシュ):スマホで支払うためのお財布アプリです。使う前にお金を入金しておきます。
- プリペイドカード:使う分だけ先にお金を入れておくカードのこと。au PAY・Kyash・JAL Pay・バンドルカードは、いずれも使う前にお金を入れておく“前払い式”のカードやアプリの仲間です。
- タッチ決済:カードやスマホをレジの機械にかざすだけで支払う方法です。
変更1|年会費が無料になる条件の「数え方」が絞られた
まず、対象のカードを説明します。三井住友カード ゴールド(NL)というカードがあります。NLは「ナンバーレス」の略で、カードの表面にカード番号が印刷されていないタイプ、という意味です。
このカードには、うれしい仕組みがあります。1年間で100万円使うと、翌年からの年会費(ふだんは5,500円)がずっと無料になり、さらに達成した年に10,000ポイントがもらえます。この「100万円使って年会費を無料にする」ことを、俗に「100万円修行(しゅぎょう)」と呼びます。年会費を無料にする条件を満たすために、あえて使い方を工夫する、という意味の呼び名です。
これまでは、au PAY・Kyash・JAL Pay・バンドルカードへの「チャージ(前払いの入金)」も、その100万円に数えることができました。つまり、実際の買い物が少なくても、入金をくり返して100万円に届かせる、という使い方ができたわけです。
2026年3月1日から、これらのチャージは100万円のカウントに数えないことになりました。
- 数字:最大で15,500円相当の差が出ます。
- 根拠:実際の買い物だけで100万円に届かないと、翌年の年会費5,500円がかかります。さらに、達成した年にもらえる10,000ポイント(1ポイント=1円で計算して1万円分)ももらえません。5,500円+10,000円分=15,500円相当、という計算です。
- 意味:これまで入金頼みで100万円に届かせていた人は、対応が要ります。実際の買い物を増やして100万円に届かせるか、あるいは年会費がかかる前提で使い方を選び直すか、どちらかを決めることになります。
変更2|コンビニ・飲食店の「おまけ還元」が2月末で終了
ここは勘ちがいされやすいので、正確にお伝えします。対象のコンビニ・飲食店でタッチ決済をしたときの還元は、今も残っています。Oliveフレキシブルペイのクレジットモードで最大8%、それ以外で7%です。還元そのものが消えたわけではありません。
ここでOliveフレキシブルペイ(オリーブ)という言葉を説明します。これは三井住友銀行のアプリで使うカードで、1枚でクレジット払い(後払い)やデビット払い(銀行の口座からその場で引き落とす支払い)などを切り替えて使えるものです。「クレジットモード」とは、その中でクレジット払い(後払い)を選んでいる状態のことです。
終了したのは、アプリにログインすることで上に乗っていた「おまけ分」で、2026年2月28日でなくなりました。土台の還元は残り、おまけが外れた、というイメージです。
- 数字:対象のお店で1年に30万円使う人で、年およそ3,000円分の減少。
- 根拠:これは「対象店で年30万円使う人はおよそ年3,000円分減る」という公表された数字そのものです。ここから逆に計算すると、おまけ分は使った金額のおよそ1%にあたっていたことになります(3,000円 ÷ 30万円 = 1%)。
- 意味:毎日のコンビニやランチでの支払いが中心の人ほど影響を受けます。ただし金額としては年に数千円ほどです。これを取り戻すために支払いのやり方を組み替えるかどうかは、次の章の「もっと効く場所」と比べてから決めるのが賢明です。
変更3|Vポイントの交換先が終了、使い道を先に決める
まずVポイントを説明します。これは三井住友カードを使うと貯まるポイントで、1ポイント=1円として使えます。
2026年3月31日で、貯めたVポイントをWAON・Ponta・dポイントなど、他社のポイントへ移す(交換する)道が一部終了しました。ポイントを他社に移して使う、という選択肢がせまくなった形です。
これからの現実的な使い道は2つです。1つは、Vポイントのまま支払いに充てること。もう1つは、SBI証券などの証券会社で投資に回すことです。交換先を追いかけるより、この2つの出口を最初から決めておくほうが、使いそびれがありません。
ここで、ポイントについての私の見方をお伝えします。私はポイントを、現金・株や投資信託・不動産と同じように、財産の1つとして扱っています。理由は、値動きで減ることがなく、リスクなしで積み上がっていくからです。だからこそ、貯め方だけでなく「使い道の変更」も軽く見ません。今回のVポイントの変更は、還元率が下がった話というより、財産の「出しやすさ(使いやすさ)」が動いた話として受け止めるのが正確です。
経営者はまず「金額の大きい支払い」から
ここまで3点を数字で見てきました。経営者にとっての優先順位は、はっきりしています。コンビニでの数%より、会社の経費・税金・毎月の固定費を、どのカードで払っているかのほうが、けた違いに効きます。
理由は単純です。会社で使うカードの価値は、次の順に大きいからです。
- 経費をカード払いにすることで、実質のコストを下げる
- マイル(航空会社のポイント)で、出張費を軽くする
- 税金の支払い方を工夫して、得をとる
- 経費の管理をラクにする
金額の感覚を、計算でお見せします。たとえば1年間の経費・税金の支払いが1,000万円あるとします。還元率が0.5%ちがうだけで、1,000万円 × 0.5% = 年5万円の差になります。毎日のコンビニのおまけ(年に数千円)とは、動くお金のけたがちがいます。
ですから経営者は、まず金額の大きい経費・税金・固定費から手をつけるのが合理的です。細かいところより、効く場所から整える、という順番です。
そのうえで、1枚のカードに全部まとめる考え方は避けてください。まとめると、そのカードが不利な支払い先で損をします。支払い先によっては、還元がふだんより大きく下がるカードもあります。だからこそ、支払い先ごとに、いちばん得なカードを割り当てる。これが、実質のコストをいちばん下げます。
今回の3つの変更も、この「支払い先ごとの割り当ての地図」を、一度引き直すきっかけとして使うのが正しい向き合い方です。
カードの点検は、保障の点検につながる
カードの割り当てを整えると、次に見えてくるのは「その固定費で、いま家族と事業をちゃんと守れているか」という問いです。
私が最初に確認するのは、いつも同じ一言です。「保険料は、何のカードで払っていますか?」。これはカードの見直しの延長にある自然な質問です。答えをたどっていくと、いまの保障が、今の事業の規模や家族の状況に合っているかの点検へ、まっすぐつながります。
会社の借金に社長個人が背負う保証(連帯保証)があるか。事業を続けるための当面の資金は足りているか。退職金の準備はできているか。カードで固定費を見直したその流れで、これらが今の実態に合っているかを、一度並べて確認しておく価値があります。
売り込みの話ではありません。数字で今の状態を並べて、足りているか・多すぎないかを一緒に見るだけです。カードの変更情報を入口に、財産と保障までひと続きで点検する。それが、今回の三井住友カードの変更を、いちばん生かす使い方です。