こんなお悩みはありませんか?
- 退職金制度を整備したいけれど、コストや手続きがよく分からない
- 社員の老後資産形成を支援したいが、福利厚生として何が最適か迷っている
- 2026年の制度改正で何が変わるのか、自社にどう影響するのか不安
一つでも心当たりがあれば、ぜひこの先をお読みください。
知らないと損をする|2026年改正で「拠出も受取も」大きく変わる
2026年は企業型確定拠出年金(企業型DC)にとって歴史的な転換点です。3つの改正が、入口(拠出)と出口(受取)の両方で起こります。
正確に整理すると、改正は次の3つです。
- 2026年1月施行:退職所得控除の調整期間が、iDeCo等を先に受け取った後で会社の退職金を受け取る場合、5年から10年へ延長(いわゆる「10年ルール」)
- 2026年4月施行:マッチング拠出の「事業主掛金額を超えられない」という上限制限が撤廃
- 2026年12月施行:DC掛金限度額が月55,000円から月62,000円へ引き上げ(実際の引落分は2027年1月から反映)
この3つを正しく押さえていない経営者は、社員の手取り改善や自社の節税機会を、知らないうちに大きく取りこぼします。私が現場で目の当たりにしてきたのは、制度を知らなかっただけで年間数十万円の節税機会を失った経営者の姿…。
「うちには関係ない」が招く機会損失
従業員30名以下の中小企業ほど、企業型DCの恩恵が大きいのが実情です。中退共や小規模企業共済との組み合わせで、退職金準備のコスト構造が劇的に変わります。
そもそも企業型確定拠出年金とは何か
企業型DCは、会社が掛金を拠出し、加入者(従業員)自身がその運用方法を選ぶ年金制度です。
厚生労働省の定義によれば、確定拠出年金は「拠出された掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する」制度です。会社が掛金を拠出する企業型DCと、加入者本人が掛金を拠出するiDeCo(個人型)の2種類があります。
運用結果に応じて、原則60歳以降に年金または一時金として受け取ります。会社が拠出した掛金は全額損金算入でき、加入者側でも受取時に税制優遇が活用できる、いわば「三方よし」の福利厚生制度です。
iDeCo(個人型)との違い
iDeCoは加入者本人が掛金を拠出します。一方、企業型DCは事業主が拠出する点が決定的な違いです。中小企業の場合、選択制DCを導入することで、社会保険料の適正化と老後資産形成を同時に実現できます。
企業型DCの3つの税制優遇
会社の掛金は全額損金算入。加入者の運用益は非課税。受取時には退職所得控除または公的年金等控除が使えます。この3段階の優遇を活用しないのは、まさに「もったいない」の一言です。
2026年改正の正確な中身を経営者目線で読み解く
改正の中身を、自社にどう影響するかという視点で具体的に整理します。
10年ルール(2026年1月)の影響
iDeCoや企業型DCを一時金で先に受け取り、その後10年以内に会社の退職金を受け取る場合、退職金側の退職所得控除が減額されます。改正前は前年以前4年以内(5年ルール)でしたが、前年以前9年以内(10年ルール)に拡張されました。
逆に会社の退職金を先に受け取り、その後にDCを受け取る場合は19年ルールが引き続き適用されます。受取順序の設計が、税負担を大きく左右する時代になりました。
マッチング拠出上限撤廃(2026年4月)の意義
これまでは「加入者掛金は事業主掛金額を超えられない」という制限がありました。改正後はその制限が撤廃され、事業主掛金と合算してDC掛金限度額の枠まで自由に拠出可能になります。社員側の老後資産形成の選択肢が一気に広がります。
掛金限度額引き上げ(2026年12月)のインパクト
月55,000円から月62,000円へ。年間で84,000円分の枠拡大です。法人税の損金算入枠が広がり、加入者の運用益非課税枠も増えます。
導入で会社が変わった事例|定着率50%→78%
製造業を営む40代経営者(従業員25名)の事例をご紹介します。
Before:退職金制度なし、社員の定着率は3年で50%、採用コストは年間300万円超。
After:選択制DCを導入し、社員1人あたり月20,000円の枠を設定。3年後に定着率は78%へ改善、採用コストは年間120万円減、社会保険料の事業主負担は年間約120万円の適正化を実現。
「選択制で社員が自分で意思決定できる仕組みがよかった。強制されるのではなく『選んで参加する』ことで、社員の主体性も育ちました」
※個人の感想であり、効果を保証するものではありません。
私が金融機関時代から見てきた範囲でも、退職金制度を整備した企業の社員定着率は、整備前と比較して平均で1.5倍程度に伸びる傾向がありました。
今日から始められる導入3ステップ
導入は思っているより手間が少ないのが実情です。順番に進めれば、最短2〜3カ月で稼働します。
Step1:自社の退職金準備状況を棚卸しする
現状の制度(退職金規程・中退共・保険等)と、社員数・平均年齢・想定支給額を一覧化します。これだけで「何が足りないか」が見えてきます。
Step2:運営管理機関を比較選定する
運営管理機関(金融機関・証券会社)の手数料・運用商品ラインナップ・教育サポート体制を比較します。規模の小さい会社ほど、サポート力で選ぶのが正解です。
Step3:労使合意と就業規則改定
従業員代表との合意形成、規約の作成、就業規則の改定。社労士と連携すれば、おおむね2カ月ほどで完了します。
経営者がハマる3つの落とし穴
導入後の失敗パターンも、決まって同じです。事前に知っておけば回避できます。
落とし穴1:投資教育を軽視する
運用商品を選ぶのは加入者自身。投資教育を怠ると、元本確保型のみに偏って資産形成効果が薄れます。継続教育の予算は最初から組み込んでください。
落とし穴2:マッチング拠出を活用しない
2026年4月以降は事業主掛金額を超える上限制限が撤廃されます。社員の手取りや老後資産形成に効くため、活用しない手はありません。
落とし穴3:退職時の手続き案内が不十分
退職した社員が放置すると、自動移換となり管理手数料だけが発生し続けます。退職時案内のルール化が不可欠です。
よくいただくご質問
Q1. 従業員10名以下の会社でも導入できますか?
導入できます。簡易企業型年金(簡易型DC)を活用すれば、手続きも費用もコンパクトに収まります。
Q2. 経営者自身も加入できますか?
加入できます。役員も加入対象であり、退職金準備として活用される経営者は数多くいます。
Q3. 導入コストはどのくらいかかりますか?
初期費用と月額の運営費用が発生します。規模や運営管理機関により異なるため、複数比較が必須です。
Q4. iDeCoと併用できますか?
条件を満たせば併用可能です。2026年12月の改正で、企業型DCとiDeCoを合算した枠で柔軟に拠出できる仕組みに整理されます。
Q5. 元本割れのリスクはどう説明すれば良いですか?
元本確保型と投資信託型を組み合わせる前提で、運用方針に応じてリスク許容度を伝える教育が必要です。専門家のサポートを使うのが現実的です。
まとめ|「2026年改正」を機に動き出すべき理由
企業型DCは、退職金制度の整備・社員の定着率向上・社会保険料の適正化を同時に実現する、稀有な制度です。2026年の3つの改正は、中小企業にとって追い風になる内容ばかりです。
「いつか考えよう」と先延ばしにしている間に、競合他社は採用力で先行します。今日、最初のステップである現状棚卸しから始めてください。
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執筆者プロフィール
佐藤亨(株式会社The First Project 代表取締役)
財務コンサルタント。中小企業の経営者・院長向けに、企業型確定拠出年金の制度設計・導入支援を専門とし、税制優遇と資産形成を両立する制度設計を提案。